ピルロ振り返り(by さいちゃ)

ピルロ振り返り

ライター:さいちゃ

どうも本当にお久しぶりです、さいちゃです。今回、ピルロ監督の振り返りを担当・執筆していたところ、締め切り日に解任されたことにより書き直しに追われています。ほんとフロントは勘弁してほしいです()

さて、結果的には1シーズンで解任されてしまったピルロ。町中では「解任はやりすぎ。かわいそう。」といった声があふれていますが、本当にそうでしょうか?突然の就任からの流れを一つずつ振り返りながら、ピルロ政権を評価していくことにします。(シーズンオフですが、便宜上20-21シーズンを今季として話を進めていきます。)

 

 

サッリとの決別と監督市場

新たなアイコンとしてロナウドを迎えるもCLベスト8敗退。長期政権によるマンネリ化が進んでいたアッレグリを切り、ユベントスは無謀にもパスサッカーへの転換を図ります。それ自体は悪いことではなかったものの、フロントはろくな後方支援もせずに歪なスカッドをサッリへと丸投げしました。サッリは「こんなんでやりたいサッカーができるか、個人頼みで勝ち点取ること優先するわ。」とまさかの現実主義へと路線を変更します。なんとかセリエA9連覇は達成したものの、選手との確執(?)もあり、CL敗退直後にあっさりと解任されました。フロントとしてはサッリで基礎を築いてピルロにリレーする狙いがあったと思われますが、ここまで現実主義だったのは予想外だったのでしょう。

さて、サッリを解任してはいいものの、ここで問題なのはユベントスの財政事情と監督市場。せっかく客寄せパn…(怒られそうなのでやめた)のロナウドを獲得したもの、コロナ禍で頼みのチケット収入が0に。2年連続で監督を解任していることもあり、ユベントスの財政は火の車です。そして他チームも財政的に博打は打ちにくく監督人事が保守的だったこともあり、本命となるような監督(しかもイタリア人縛り)は市場に出回っていません。以上のことから、首脳陣は最近はやりの禁忌に手を出します。そう、「過渡期に新米レジェンド監督を起用し、本命の監督を取れるまでファン心理を和ませる」作戦。ピルロはU-23監督就任からわずか数日でトップチームに昇格することとなりました。

 

評価の前提条件として

ガットゥーゾ風に言うと「ねじ込まれた」ピルロ。相変わらず監督の意向無視の歪なスカッドですし、昨シーズンオフは準備期間が異様に短かったりと不運な点はたくさんありますが、就任オファーを飲んだからには、新米とか関係ありません。アッレグリやサッリと同様、あくまで1監督として評価する必要があります。ましては今季はセリエ10連覇を狙うチームです。個人的に今季のピルロにいい感情を抱いていないため多少厳しいくなっているかもしれませんが、できる限り中立な視点で評価するように心がけました。

 

序盤戦

前置きが長くなりましたが、いよいよシーズンの振り返りです。開幕戦はまさにピルロ監督の原点にして頂点。論文で示していた通りのポゼッションサッカーで快勝。今季はこの形を主軸に行くものだと思われましたが…。以降の数試合は実験を開始。1節で成功を収めた戦術を熟成させるのではなく、あくまで"実戦で"選手適正を見極めることをピルロは決断しました。その結果として序盤戦は(も?)取りこぼしが多発。無敗と言えば聞こえはいいものの、勝ちきれない試合が続き勝ち点を落としていきました。スロースターター型だったアッレグリと違うと感じるのは、アッレグリはあくまで最適解を求めて選手組み合わせを探っているのに対し、ピルロはうまくいった試合の後も明らかに適正でないポジションで選手を起用したりと、本当に実験要素が強かったことです。いくら準備期間が少なくシーズンインしたとは言え、実験を繰り返せるほどセリエAというマラソンは簡単ではないのでは?と思っていた序盤戦でした。ちなみに、この序盤戦はシーズン通じて迷子だったディバラに加え、ロナウドの両エース不在というなかであったため、それも決定力不足につながっていたことは否めません。

 

中盤戦

序盤戦でつまずくも、だんだんと4-4-2を基本陣形とたチームはバルサ戦での逆転1位通過をきっかけに年明け以降の中盤戦で盛り返し始めます(ヴィオラ戦は知らん)。このころから少しずつ守備面での粘り強さも目立つようになり、スーペルコッパでピルロ監督初タイトルを獲得。コッパイタリアではインテルを下して決勝戦に駒を進めます。しかし過密日程の下で勢いは長続きせず、コッパ準決勝以降はチームは暗転。欧州CLで格下とみられていたポルト相手に敗北。3年連続で金星を献上するというやるせない結果となりました。

 

終盤戦

31節にここまでチームを引っ張っていたキエーザが負傷離脱するとアタランタ・ミランと上位対決に敗北。10連覇はおろかCL圏外に転落することになります。それでも疑惑のイタリアダービーを物にし、コッパイタリア決勝ではアタランタにリベンジ成功しタイトル獲得。最終節でナポリが引き分けるという幸運にも恵まれ、最後はなんとか4位でシーズンを終えることに成功しました。

 

 

ピルロの評価

ピルロの監督としての評価は難しいものがあります。まずは内容として印象に残ったことを挙げていくことにします。1つ目にターンオーバーがかなり多かったこと。これはアッレグリやサッリにはなかった特徴です。しかしこれは裏を返せば最後まで主軸を固定できなかったともいえるので、過密日程の今季ではどちらが正解だったかのかはわかりません。2つ目はエース依存度、選手のモチベーション依存度が高かったことです。ディバラやロナウド、キエーザが離脱している期間は勝ち点を多く取りこぼしました。また、カップ戦の準決勝や決勝など選手のモチベーションが高く保たれる時にはいい成績を残しましたが、長期のリーグ戦ではライバルとの直接対決にめっぽう弱かったりと、選手のメンタルマネジメントといった面では課題が残った印象です。(記憶が正しければ、今季リーグ戦の最多連勝は3という不安定さ…)最後にやりたいサッカーの姿が最後まで見られなかったこと。戦術や選手配置でも特にピルロ独特のアイデアというものはインパクトに欠け、なおかつ最後まで熟成させることはできませんでした。もちろんやりたいサッカーにあってないスカッドや、ロナウドやディバラといった強烈な個がいること、細かい負傷離脱を繰り返す選手が多かったことはピルロにとって不運であったことは間違いありません。

最後の1週間が劇的だったため、ピルロは良かったというイメージが残っていますが、10連覇を目指していたチームとしてはリーグ戦はふがいない結果となってしまいました。CLでベスト16で格下相手に敗退したものの、国内カップは3季ぶりに奪還。最低限のノルマは達成し、監督初年度としてはよくやったのは間違いないですね。そう、監督初年度としては。

 

解任は非か

さて最後に今回の解任人事についての是非を判断していこうと思います。まず今回のピルロが「かわいそう。」といったムードが流れている理由としては、前述したとおりかなりの不運が重なっていることが要因だと考えられます。突然の就任、準備期間が短い、スカッドが歪、過密日程、負傷離脱が多い…。それは確かにその通りです。さすがに不憫すぎました。しかし1監督として評価してみると獲得した主要タイトルは国内カップ戦のみ。CLはベスト16敗退で、リーグ戦はぎりぎりの4位でした。サッリと比べてもやや劣ります。内容面に目を向けても来期につながるようなポゼッションサッカーの礎を築くことはかないませんでした。同様の理由でサッリが首を切られているのであれば、ピルロの首が飛ぶのも当然でしょう。また、忘れてはならないのがピルロは「本命の監督が取れるまでの繋ぎ」ということ。後任にアッレグリという実績十分の監督を取れる(他チームに取らせない)チャンスが生じたわけですから、繋ぎの監督はあっさり手放されます。

監督として来期も任せられるような結果・内容を示せなかった、あくまで繋ぎの存在だった。ということから、今回のピルロ解任は妥当であったと思われます。トップチームしかも欧州CL出場チームの監督をするということはそんなに簡単なことじゃないということでしょうか。うまく利用し、冷徹に別れを切りだしたユベントスのフロントはある意味で”らしい”働きぶりだったかもしれませんね。願わくばピルロは一度ほかの監督の下でアシスタントとして学び、5年後、10年後に欧州トップチームを率いてほしいです。

ありがとう、ピルロ。

 

まとめ

・ピルロはあくまで本命監督までの繋ぎ

・ポゼッショばないスカッド、過密日程、負傷離脱等…不憫すぎた

・選手のモチベーション維持に苦戦、安定感の欠如

・ポゼッションサッカーを掲げるも、戦術の浸透に失敗

・最低限のノルマは達成し、”新人監督としては”よくやった

・解任されたアッレグリの最終年、サッリと同等以下の成績ならば基準自体はブレていない

・本命の出現により、解任には抗えず

 

 

最後に

フロント人事が次々発表されていますが、拡大路線・パスサッカーの首謀者(?)であるパラティッチと契約延長をしなかったことから、堅実路線への回帰が予想されます。パスサッカーはもう望まない、そういった意味でも今回のピルロ解任は妥当だったのかもしれませんね。拡大路線・パスサッカー支持者だった私としては残念です…(というか、選手獲得術は確かなんだから、攻撃的な中盤に投資拡大しとけよ、パラの馬鹿ぁ…。)

では。

 

ライター:さいちゃ

 

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Posted by 編集長ミツ