【魂のコラム】My Dear ルガーニ
毒者みなさんはご存知の通り、編集長は「コラム」なんて大層なものを書くだけのライティングスキルを持ち合わせていません。だけど「ユベンティーニ魂」だけは持っています。つきましては、その魂の限りを詰め込んだ文章をお届けしますので、最後までお読み頂ければ幸いです。
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My Dear ルガーニ
2017-18
ボクがユベントスに戻った2017-18シーズン。当時はそれこそパウロ・ディバラの存在も知らない状態だったから、ダニエレ・ルガーニなんてもってのほか。しかし、このシーズンはボヌッチがミランに移籍した事もあり、開幕戦から出場していて気になったので、昔からのユベントス仲間に「ルガーニってどんな選手?」って聞いてみると、「イタリア期待の若手センターバックだよ」と言う回答が帰って来て、ボクもそんな目で見るようになっていった。当時、ルガーニは22歳だった。
結局そのシーズンは出たり出なかったりが続いたものの、国内リーグは22試合に出場(すべてスタメン)。まぁ、「期待の若手選手としては頑張った方じゃないか」と言うのがボクの見立てだった。
2018-19
翌シーズン、「期待の若手」は「計算できる若手」となるべく、ユベントスのレギュラー獲りに燃えていたに違いない。バルザーリは晩年を迎えキエッリーニは怪我がち、そしてベナティアはいまいち安定感を欠いている。しかしそこに突如として戻って来たのがボヌッチだ。シーズン開幕前、アメリカで行われているキャンプ中に、‘’あの‘’ボヌッチのユベントス復帰が発表された。しかも背番号19をペリンから剥奪して。
それもあり、ルガーニは完全に「期待」から外れる事になった。アッレグリがはっきりとそれを口にした訳ではないが、国内リーグでは最初の一巡目(第1節~第19節)において出場したのはわずか3試合。聞くまでもなかった。
ロナウドを迎えた2018-19シーズン、ユベントスはセリエAの首位を独走し、そしてチャンピオンズリーグではアトレティコ相手に劇的な逆転勝利を収め、ベスト8に進出した。だが、そこでチームは危機に直面する事になる。メディ・ベナティアがカタールに発ち、そしてキャプテンのキエッリーニが怪我で戦列を離れる事に。大一番のアヤックス戦のセンターバックはボヌッチとルガーニで臨む事を余儀なくされる事になった。
誰もが心配の声を寄せた。そしてその心配は現実のものとなってしまった。
2019-20
このシーズン、サッリがユベントスのベンチに座る事になる。エンポリ時代にルガーニを寵愛したサッリは重宝すると考えられた。しかしサッリにそんな余裕はなく、昔の愛弟子さえも「放出候補のひとり」となった。いや、正確に言うならば「放出候補の最有力」だろうか。
すでに夏のマーケットから「ダニエレ・ルガーニ」は移籍市場に出され、幾つかのチームが獲得に名乗り出ていた。しかし、開幕戦でキエッリーニがシーズンを棒に振る程の大怪我を負い、ユベントスはセンターバックひとりを失う事になる。それにより移籍期限ギリギリの段階でルガーニは残留する事になった。「ベンチ要員」として。
その後、マタイス・デリフト、メリフ・デミラルと言った新戦力がフィットし始めたチームは、冬のマーケットで改めてルガーニ放出を考える。キエッリーニの怪我により残留したものの(残留させたものの)、冬のマーケットを迎えるまでに出場したのはたったの3試合。チームとしても当然の選択だった。
だが、ここでまたチームにトラブルが生じる。今度は新戦力のデミラルがキエッリーニと同じく大怪我を負い、シーズン終了となった。そしてまたルガーニは残留する事になった。夏のマーケットの時と同じくグチのひとつも口にする事なく、ユベントスのスカッドを縁の下で支え続けた。
2020-21
ピルロが監督に就任した時、それはもはや時間の問題だった。ルガーニはピルロの構想には入っておらず、第2節のローマ戦を最後にフランスのレンヌに向かう事になった。形は「ローン移籍」だが、これが片道切符になる事サポーターは分っていた。
「ルガーニは終わった」
誰もがそう思ったに違いない。
フランスに渡ったルガーニだが、怪我もありレンヌでは良い所を一切見せる事が出来ずに、冬のマーケットで同じセリエAのカリアリに再度レンタル移籍する事になった。ヨーロッパカップ出場を狙う訳でもなく、チャンピオンズリーグ出場を夢見る訳でもなく、セリエA降格レースを演じるチームだ。しかし、そこでもルガーニはスタメンの座を奪う事は出来なかった。
もはや「元イタリア代表」の肩書を覚えているファンは皆無だった。
2020-21
2020-21シーズン、ルガーニはユベントスに戻って来た。開幕前、幾つかの移籍話は報じられたものの、そのひとつも現実味を帯びたものはなかった。年俸が高かった事もあるが、デミラルが出場機会を求めてアタランタに移籍した事も大きく影響した。ルガーニは「4番手のセンターバック」として、再度ビアンコネロのユニフォームに袖を通す事になった。
しかしと言うかやはりと言うか、シーズンが開幕しても十分な出場機会は与えられなかった。それでもルガーニはチームに帯同し続けた。ベンチに座り続けた。チームの万が一に備えて。文句のひとつも口にせずに。
そして迎えた2022年。ルガーニに大きなチャンスが巡って来る。キエッリーニの離脱(怪我とコロナ感染)、デ・リフトの出場停止(とコンディション不良)、そしてボヌッチの怪我により、年明け初陣となるナポリ戦からスタメンに名を連ねると、6試合連続でスタメンフル出場を果たす事になる。
誰もが心配の声を寄せた。しかしその心配は杞憂のものとなった。
ルガーニは任された6試合全てにおいて、素晴らしいパフォーマンスを見せて、ユベンティーニに復活した事を大いにアピールした。年齢も27歳となり、もはや「期待の若手」ではなくなったが、「計算できるセンターバック」としてアッレグリからも信頼を寄せられる事になった。
文句ひとつ口にせず出番を待ち続けた男のプレーに、文句をつけるファンはいなくなっていた。自身のプレーで皆を黙らせたのだ。
Dear ルガーニ
これだけの働きを見せても、ダニエレ・ルガーニはユベントスでは4番手のセンターバックである。この順列は変わらないし、それは本人も分かっている。
しかし残りのシーズンにおいて、ユベントスは必ずルガーニを必要とする時間があり、その為に本人も準備をしている。いつも通りに。
『世界ナンバーワン第4センターバック』
揶揄しているのか、それとも敬意の表れなのか。
それはこの6試合のルガーニのプレーを見れば誰もが分かるはずだ。
My dear Rugani.
あなたに信頼を寄せている。
あなたを誇りに思っている。
(記事終わり)
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