前略、デ・シリオ様 ~愛すべきあなたへの手紙~

 

前略 マッティア・デ・シリオ様

 

ご無沙汰しています。

昨日、あなたが『レンタル移籍』と言う名の島流しの旅に出られたとお聞きし、いてもたってもいられなくなりました。

今この瞬間に、私が思い返したあなたとの思い出をここに綴らせて頂きますので、「日本にも自分を想う変態的なファンがいるんだ」とご認識頂ければ幸いです。

 


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出会い

わたしがユベントスに戻った2017-18シーズン、あなたは恩師であるアッレグリに呼ばれる形で、ユベントス移籍を果たしました。後ほど知らされたのですが、ミラン時代はなんでも「マルディーニ2世」などとも言わた事もあったようで、それを聞いてミラニスタのあまりの見る目の無さに、空いた口が塞がらなかった事を覚えています。あなたはあなたであり誰の2世でもなく、唯一無二のゆとり系選手です。その環境(ミラン)の中で一皮剥く事が出来なかったのも納得ですし、全く見当違いの期待を寄せられた日々がどんなに苦しかっただろうと、考えただけでもハゲそうになりました。

 

 

スタメン不出場

あなたは多くの伝説の持ち主ですが、その中でもどの試合か忘れましたが、スタメンに名を連ねながらもキックオフの笛が吹かれる前にはすでに負傷して離脱していた日の事は忘れられません。「出ないと言ったら出ない」。ゆとりの中にも見え隠れする芯の強さ、それこそがあなたの最大の魅力のひとつだと感じています。

 

 

現地観戦

2018年11月トリノに出向き、ユベントススタジアムで人生初の現地観戦を果たしたわたしの前に、あなたは2度に渡り現れました。

初観戦となるセリエAのカリアリ戦では得意の左サイドバックとしてスタメンに名を連ね、3対1の勝利に大きく貢献。わたしの為に慣れないフル出場を果たしてくれたと、嬉しくなったものです。そしてその3日後に迎えたチャンピオンズリーグ・グループリーグの大一番、マンチェスター・ユナイテッドとの一戦には、新加入ながら右サイドでぶいぶい言わせていたカンセロを追いやりスタメン出場(実際にはカンセロは怪我で欠場)。幸運な事にもバックスタンド前から2列目の席を確保したわたしの前を、ヤル気があるんだか無いんだから分からない顔で幾度となく前後運動を繰り返していました。2018-19シーズンと言えばスーパースターであるクリスティアーノ・ロナウドが加入した年でもあり、わたしの隣に座っていたイタリア人親子もひたすらロナウドに声を掛け、そしてパシャパシャと写真を撮っていましたが、わたしはあなただけを見て、そしてそれこそスマホの容量いっぱいになるまで、背番号2を被写体に写真を撮り続けました。きっと「マッティア!」と叫んだわたしの声は届いていた事でしょう。

残念ながらこの試合は逆転負けを喰らう事になるのですが、追いつかれ、そして逆転弾を叩き込まれたのはあなたがバルザーリとの途中交代を強いられてからです。わたしの中ではアッレグリがユベントス監督時代に犯した最大の采配ミスは、チンピラーロの右サイドバック起用と、この試合でのあなたの交代だと思っています。

 

 

因縁のアタランタ戦

2018-19シーズンのコッパイタリア準々決勝。センターバックに怪我人を抱えるユベントス、その指揮官であるアッレグリが前日会見において「デ・シリオもセンターバックが出来るし問題はない」とウソピョンした事にサッカーの神様が怒ったのか、この試合でスタメン出場していたキャプテンのキエッリーニが前半25分に負傷退場を強いられ、スクランブル的にあなたがルガーニとセンターバックを組む事になりました。その後は『超』が付くほどアタランタに一方的にやられ、中でもあなたとルガーニが揃いも揃ってドゥバン・サパタを全く止める事が出来なかったシーンには、わたしも思わずオシッコが漏れそうになりました。わたしの中では、アッレグリがユベントス監督時代に犯した最大の采配ミスは、スパーズ戦でイグアインにPKを蹴らせた事と、この試合であなたをセンターバックに起用した事、そして更に言わせて頂くならば前日会見でウソピョンしちゃって後に引けなくなった事だと思っています。

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ファンレター

そんな愛すべきあなたに、わたしは日本からファンレターを送りました。しかも直筆の手紙に加え、プレーヤーズカードを2枚と返信用の国際切手を同封して。でも返信は届かず、「ユッティのくせに生意気だな」と思った事も、今では良い思い出です。

 

 

2019-20シーズン

右サイドバックの定位置を争うカンセロがシティに移籍した事で、このシーズンはあなたに大きな期待を寄せらる事になりましたが、それをヒラヒラと交わすが如く容赦なく25試合を怪我で離脱するあなたの姿を見て、思わず涙が頬を伝いました。中には「スペ体質」と酷い声を浴びせる人もいましたがわたしは最初から分かっていました、「デ・シリオに期待する方が悪い」と言う事を。何度も口にしてきた通り、あなたはレギュラーで輝く選手ではありません。まぁベンチにいても重宝してされる程の選手ではないのですが、それでもまだスタメンよりはベンチにいる方が貢献度は高いと言えたはずです。

 

 

『期待するから失望する』

 

 

社会で生き抜く上で、大事な事を教えてもらった気がします。

 

 

そしてリヨンへ

そんなあなたの元が騒がしくなったのは、新シーズンも開幕する直前。「デ・シリオかペッレグリーニか」でファンが騒ぎ始め、中には『デ・シリオがいるからペッレグリーニが放出される。デ・シリオをとっとと放出しろ!』と心無い言葉を口にする輩もいました。果たしてペッレグリーニはカリアリへレンタル移籍する事になる訳ですが、移籍期限前日の10月4日、突如あなたの周辺にこんな噂が立つ事になります。

 

『デ・シリオ、リヨン移籍へ!』

 

この噂が挙がったタイミング、そしてニュースの出所を見る限り「信憑性はかなり高い」と、さすがのわたしも身構える事になり、翌10月5日の朝5時半に目覚めると『ユベントス、フィオレンティーナのキエーザ獲得』の報道に隠れるように、あなたのリヨン移籍が発表されていました。

 

 

なんの因果か分かりませんが、わたしがユベントスに戻ったシーズンにあなたがユベントスに加入して来て、わたしの2度目のユベンティーニとしての道を共に歩む事になりました。

最初に見た時は「覇気も感じられないし、ユベントスらしくない選手だなぁ」と感じたものの、チームを追い続けるうちにそれがあなたのスタイルであり、そしてユーティリティ性を持ち合わせた素晴らしいプレーヤーである事に気付きました。そして残念ながら周囲からは認められていない事も認識し始めました。

 

確かにスーパーなプレーを見せるタイプではありませんが、それでも右も左も器用にこなせる選手であり、わたしはそんなあなたが大好きでした。時として『怪我が多過ぎる』と非難される事もありましたが、誰が好んで怪我をしているものか。時として『要らない』と揶揄される事もありましたが、ユベントスに要らない選手など誰一人としているものか。あなたは間違いなくこの3シーズンにおいてユベントスを支えた選手であり、3度のスクデットを勝ち取った選手で間違いありません。胸を張ってフランスに向かって欲しいと思います。昨シーズン、チャンピオンズリーグベスト8を果たしたチームが、あなたを必要としたのです。

 

これからの1シーズンは寂しくなりますが、またあなたが戻って来ると信じているし、そしてわたしはその場所をずっと空けて待っています。

 

 

 

 

親愛なるマッティアへ。

 

 

また一緒に戦える日を楽しみにしています。

 

 

遠い日本からあなたを応援し続けています。

 

 

 

草々

 

2020年10月7日
月刊ユベントス編集長:ミツ

 

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