ガッティ離脱で守備崩壊危機 ── 若手抜擢か、布陣転換か トゥドールの決断に注目
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ユベントスの2024/25シーズンは、逆境への耐性という意味ではひとつの教科書的展開になりつつある。ただ、その反面で深刻さを増す負傷者の続出は、クラブの野望そのものを脅かしかねない局面に達している。
最新の離脱者はフェデリコ・ガッティ。すでにグレイソン・ブレーメル、フアン・カバルが戦線を離れており、さらにドウグラス・ルイス、アンドレア・カンビアーゾ、アルカディウシュ・ミリクといった主力も慢性的なフィットネス問題を抱える中で、イゴール・トゥドールが直面しているのは、クラブの命運を左右する戦術的な難題だ。
一時は堅牢を誇った守備ラインも、今や継ぎ接ぎだらけの構成に変貌。マヌエル・ロカテッリのような中盤の選手が最終ラインに回され、SBのバックアップはセリエBクラスの選手で埋め合わせる状況となっている。
指揮官が好む3バックシステムを貫きつつ、現実的な手を打つバランス感覚が問われている。ブレーメル、ガッティ、カバルと3人の本職CBが不在の中で、ウィングバックのカンビアーゾを中央に配置する奇策や、ロイド・ケリーのような未知数の戦力に頼らざるを得ない。ジェノア戦では辛勝を収めたが、こうした綱渡りの布陣では、ローマのような強敵に対して脆さを露呈する可能性が高い。
さらなる問題は、今季のスカッド構成におけるクラブの判断だ。ディーン・フイセンの放出やダニーロの退団によって経験値を手放しながら、代替として迎えたのは負傷がちな中堅たち。その皺寄せが今、如実に現れている。
頼みの綱となるのは、ユース世代の突き上げだ。サミュエル・ムバングラやニコロー・サヴォーナといった若手が鍵を握る可能性はあるが、トップ4争いのような高圧下で彼らに重責を託すには、それなりのリスクも伴う。
批判の矛先はメディカル部門にも向かっている。施設の近代化にもかかわらず、筋肉系のトラブルや骨折などが繰り返されており、コンディション管理やリカバリープロトコルに構造的な問題があるとの指摘もある。
現実的な解決策として、トゥドールには残された戦力をいかに効率的に回すかが求められる。重要な試合を見極めて資源を集中させる一方で、限界のあるスカッドの中でどこまで柔軟に対応できるかが成否を分ける。
シーズン終盤を迎える今、試されるのは指揮官の柔軟性と創造力だ。混乱から結束を生み出すことができるのか、それとも応急処置の連続が限界を迎えるのか。トゥドールの評価、そしてユベントスのシーズンそのものが、残された時間の中で試されている。
逆境が創造力を引き出す——そんな美談を信じたいビアンコネーリのサポーターも、毎週のように更新される離脱者リストを前にすれば、希望よりも不安のほうが勝る。もはや一つのミスが命取りになる局面だ。トゥドールは残された限られた駒で、地雷原を踏まずに突き進めるのか。その手腕に、すべてがかかっている。