【執筆チーム合同企画】2020年夏のメルカート採点




クルゼフスキに始まり、キエーザで幕を閉じたユベントス夏のメルカート。一見すると「成功」に終わったようにも見えますが、この夏の動きはユベントス執筆チームの目にどう映ったのか。是非、お楽しみ下さい。

 


 

kassi

制限がありながらも上手く立ち振る舞ったメルカート

今シーズンのメルカートは、コロナ禍真っ只中にあり非常に厳しい状況だった。世界中のクラブが減収となりユーヴェにも資金がなく、他クラブにおいても移籍金と年俸が高いユーヴェの選手を買う余力は持ち合わせていなかった。加えて元々膨れあがっていた選手の総年俸を抑えながら、少ない登録枠をパズルのように入れ替えていく今年のメルカートの難易度はかなり高かったに違いない。そんな中、高年俸や怪我で稼働率の低い選手の放出を契約解除やローンを駆使して行いながら、ピンポイントで必要な選手を獲得し、振り返れば非常に上手く立ち回れたメルカートだったように思う。

個人的に印象深いのは冬の移籍でクルゼフスキを確保していた点と、ジェコの獲得に時間がかかるとみて即モラタにターゲットを変更して獲得をまとめた点を挙げる。いずれも先を見越した早い判断が功を奏した移籍だったと思う。

一方、ローンで放出した選手達に関して、来シーズン以降の売却は再チャレンジとなるのが放出が苦手なユヴェントスにはやや懸念材料だ(この状況下でやむを得ない点はあるが)。個人に目を向けるとDコスタについては新しいフィジカルコーチのもとで怪我体質改善が期待されていたのに加えて、貴重な個の突破力を持つWGだっただけに放出は少々残念に思えた。ここは代わりに獲得したキエーザに期待したい。

上記を考慮したメルカート採点は

85点

・CF第一希望のジェコではなくモラタに
・売却益(キャピタルゲイン)を得られた移籍がピャニッチのみ
・ケディラをはじめ売却を持ち越しした案件が数件。

各5点マイナスで計15点減点して85点とした。

総年俸に加え平均年齢も下がった新しいユヴェントス、今シーズンも楽しみで仕方ない。

 

 

Kan

功者ぶりを見せつけられた夏

95点

COVID-19の影響を受け、市場全体に出回るお金の規模縮小や選手の放出・獲得ともに難易度があがることが懸念された今夏のメルカートではあったが、その中でもユベントスは非常にうまく振舞えたのではないだろうか。

クルゼフスキの獲得に関しては昨冬に決定していたのでCOVID-19の影響はほとんどないだろうが、ピャニッチの放出と引き換えに獲得したアルトゥール、メルカート閉幕直前に獲得が発表されたキエーザなどについては素晴らしい出来である。近年懸念されていた余剰戦力を(ローンという形ではあるが)放出できたことも、今季の状況で行えたことは評価に値する。

同時に各ポジションでの世代交代が着実に進みつつあることも見逃せない。中盤において構想外となっているケディラを除けばラムジー以外の選手に熟練度が不足している事はやや懸念されるが、ベンタンクール、ラビオ、アルトゥール、マッケニーのどの選手も大器となることは間違いないだろう。強いて挙げるならば『モラタではなくジェコを獲得していれば』という点と、ケディラの去就が未定である点は心残りであるが、減点は5点で十分だろう。

代表戦もありしばらくの間試合はお預けだが、次節クロトーネ戦での新生ピルロユベントスが楽しみで仕方がない。

 

 

nayumo

最高級の食材を揃えることができた 

100点

コロナ禍の影響をダイレクトに受ける移籍市場、非常に難しい状況下において、素晴らしい動きを見せたと言えるだろう。アルトゥールやモラタといった世界的に名の知れた若手選手に加え、マッケニーやクルゼフスキーといったスターの卵をを獲得できた。そしてメルカート終了間近に決まった待望のキエーザ。文句の付け所が見つける事が出来ない。

放出に関しても移籍金を取れなかったことに関しては残念なところもあるが、高齢化してきた選手層を改善できたことに加え、負傷離脱が多い選手や控えの役割が定着してきた選手をレンタルで放出できた事は、ユベントスにとってマイナスになる事はなく、そして選手自身にとっても環境が変わる事でプラスに転じるはずであり、まさにWIN-WINだと思っている。

この選手達をピルロの343に当てはめると、ほとんどのポジションにレギュラークラスが2人以上並ぶ事になる。しかし単に若い選手に鞍替えしただけではなく、戦術ベースに条件が一致し、ユベントスでスタメンをはれるレベルの選手達を獲得することができた事は『さすがユベントス』といったところだろう。

かねてより「ファンは理想を語り経営陣は現実を見ている」と思っていたが、今回は経営陣がファンの理想を現実にしてくれたと思っている。唯一の懸念点は、ロナウドを活かせるCFではなく同じタイプとも取れるモラタを獲得したところだが、彼も27歳と伸び代は十分あり、自身が世界のトッププレーヤーとして名を挙げたこのユベントスという環境に戻って来たことで、誰もが驚く成長を見せてほしいと願っている。

サッカーを料理に例えるとしたら、選手は食材で監督はシェフ、経営陣は仕入れ担当である。その仕入れ担当がシェフの要望を聞き、最高の仕事をした。
この最高級の食材を生かすも殺すもシェフ次第である。ピルロの手腕に期待したい。

 

 

タカオ店長

100点は付けられない

70点

他の方々が細かいところ振れてくれると思いますので、その辺りはお任せします。

世代交代に成功し、年棒総額も抑えることができた。余剰戦力の整理にもほぼほぼ成功し、これ以上ないメルカートだったと言って間違いない。

おっしゃる通りです。それならば100点です。ではマイナスの30点は?と聞かれたらならば

 

当初望まれていた正統派CFの補強をモラタでなんとなーくうまく行ったように見せかけたのでマイナス10点。

ケディラの説得に失敗したのがマイナス10点。

残りの10点は、ルガーニとデ・シリオという計算は出来ないけれど、かといってバックアッバーとしてはこの上ない選手を手放してまで、‘’このタイミングで‘’キエーザ獲得に拘った為。

 

と返答させて頂きます。「後で痛い目見なきゃいいけどな」って思ってますが…。

 

 

さいちゃ

最後の最後に20点が上乗せされた

120点

文句なしの立ち回りだったと感じる。

とにかくお金が動かせない今メルカートでは「人件費の削減」「少数精鋭の補強」「3-4-3を目指す」といったところを課題に上げていた。そんな中、買い手のつかないベテランは契約解除してでも放出、怪我がちの選手はローン移籍をさせて様子を見るなど、人員整理が順調に進んだ。また、ピャニッチを6000万€で売却できたのももちろん大きい。

補強に関しても若手をローン移籍で獲得するという方針を貫き、人件費を大幅に削減することに成功した。これからの成長が期待される若手という訳ではなく、ここ2シーズン安定した成績を残した”実力者”の補強だったのだから完璧だ。特にアルトゥールはブラジル代表の中心選手。マッケニーとクルゼフスキも即戦力級の実力を持っていたのはいいサプライズであった。唯一残念だったのはCFにロナウドとタイプがもろかぶりのモラタを選択した点。しかし、移籍というのは交渉相手に放出する意思がなければ実現しないわけで、他に獲得可能なCFが市場に出ていなかったのだから仕方ない。モラタが本命でなかったのは契約形態を見ても明らかで、他の選手が”買取義務付き”なのに対し、モラタだけが”買取OP付き”なのである。フィットしなければ返却すればいいだけなので、繋ぎとしては充分なのではないだろうか。

ここまでで既にほぼ100点だが、なんと最後の最後にキエーザという”推し”がきた。国際化が進む中でイタリア代表もちゃっかり確保。20点上乗せしても怒らないでほしい。

 

 

編集長ミツ

優越を付けられれば

90点

今までカルチョを見てきた中でも、最もインパクトの乗ったシーズンと言っても過言ではないかもしれない。単にビッグネームを獲得するのではなく(モラッティ方式)、チームのバランス、更には若返りにも成功させたのであるから、文句の付けようがない。

あとはこれらの選手をピルロがどのように配置、起用するか。

ここは2つポイントを挙げたいと考えていて、ひとつ目は『最適解を早く見つける事』。今シーズンは3-5-2システムを基本とする事で、多くの選手を幾つかのポジションで起用する事が出来る様になった。例えばダニーロはスリーバックの一角でも起用できるし、間違いなくウィングバックもこなせるだろう。前線ではディバラはトップ下と2トップ、クルゼフスキやキエーザはウィングバックと2トップ、これらの選手はどのポジションでも高いパフォーマンスを披露してくれると期待できる。その中で『勝たなくてはならない試合でベストとなるメンバーを選出し、最も機能する布陣を敷く事が出来るか』、これこそがピルロに突き付けられた課題(ポイント)だと考える。

2つ目は『優越を付ける事』。更に言えば『優越を付けた事を選手に認識させる事』だと考えている。確かにユベントスには世界の一流選手が集まってはいるが、かと言って全ての選手がS級・A級ではない。そしてこれがサッカーの難しい所であり、面白い部分でもあるのだが、S級・A級の選手を並べたからと言ってそれがベストでもないのだ(=それで勝てる訳ではない)。要はバランスである。

どのチーム、どの年代においてもその中心選手としてプレーしてきた選手である。ベンチに座る時間が長ければ納得がいかないだろうし、それが続けば口から不満が出る事もあるだろう。そうなった時にピルロが選手を宥めるのではなく、そうなる前にピルロが選手に対してある程度の優越を認識させておく事がポイントだと考えている。今であればデミラルやモラタに対して、それを予め説明していく事は自身に対しての保険にも繋がるはずだ。

少し話が逸れてしまった感はあるが、「補強」だけを見れば100点に近い90点であるが、残りの10点はピルロの立ち振る舞い方次第であると考えている。

 

 

いかがでしたでしょうか?概ね満足度の高いメルカートだったと思われますが、「あとはピルロのやり繰り次第」と言った所でしょうか。

 

今回も下段のコメント欄を開放しておりますので、是非ご意見などをお聞かせ下さい!

 


【最新のユベ議室お題😎】

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[convi]