開幕2試合で見えた方向性と課題




開幕2試合で見えた方向性と課題

開幕2試合を終えて2戦2勝と好スタートを切ったに見えるユベントスですが、サッリ新監督のもとで見えてきた方向性と課題を、ここで紹介させて頂きたいと思います。

 


 

スタメン固定化

キエッリーニが怪我で離脱した為に、ナポリ戦ではデ・リフトがスタメン出場した事を除けば、残る10のポジションには2試合とも同じ名前が連ね、ナポリを率いていた時代から『スタメンの固定化』が代名詞となっているサッリにおいて、十分すぎる選手層を誇るユベントスにおいても同じ手法を用いる可能性も見えてきました。もちろん『開幕直後の戦術を浸透する段階だから』と言う可能性もありますが、このままスタメン固定化が続くようであれば、各国代表クラスを多数抱えるチームにおいては『不満分子』が顔を出す可能性は否めません。

 

ディバラのポジション

ユベントス残留を‘’勝ち取った‘’ディバラですが、開幕2試合で与えられた出場時間はナポリ戦のわずか14分のみ。代わってスタメン出場を果たしているイグアインが良い働きを見せ、そしてナポリ戦では華麗なステップからゴールを決めている事からも、当分の間この序列は変わらない可能性もあります。チャンピオンズリーグ登録選手からマンジュキッチが外れた事により、サッリがセンターフォワードのポジションに「イグアイン」と「ディバラ」を考えている事は分かりますが、もしかしたらサッリの中ではすでにレギュラーとサブの棲み分けが出来ている可能性もあります。シーズン序盤は与えられた少ない時間の中でアピールする事が出来なければ、背番号10と言えどもベンチを温める時間が長くなるかもしれません。

 

ラムジーの不安

アーセナルに所属していた昨シーズン終盤にハムストリングを痛め、現在も完治には至っていないラムジー。開幕前最後のプレマッチとなったトリエスティーナ戦には出場したものの、セリエA開幕2試合では『招集外』に。すでにチーム練習に参加して汗を流す姿も見せていますが、アーセナル時代から怪我が多い選手だった事もあるので、焦らずに万全の状態までコンディションを整えてから復帰する事を望みます。もし、このタイミングで再発するような事があれば、それこそ『計算できない選手』に入ってしまい、サッリの計算も大きく狂ってしまう事でしょう。

 

 

ブッフォンを獲得した意味

開幕ゴールを挙げて幸先よいスタートを切ったキエッリーニですが、第2節のナポリ戦を前に右ひざ前十字靭帯を損傷して長期離脱を余儀なくされました。精神的支柱となるキャプテンが不在となる中で、まさに昨シーズンのCLアヤックス戦2ndレグの悪夢が一瞬頭をよぎりましたが、今シーズンはユベントスを体現するブッフォンがいる事は、その不安を大きく和らげてくれる事になりました。キエッリーニの怪我は予想しうる事態だった訳ではありませんが、特に新監督になり更には新しいメンバーも加わったチームにおいて、ブッフォンと言う大きな影響力を持つ選手を補強していた事は、フロント陣のファインプレーとも言えるのではないでしょうか。

 

センターバックへの不安と期待

キエッリーニの離脱によりナポリ戦ではチャンスを与えられたデ・リフトでしたが、『セリエAの洗礼』を浴びる結果になり、各紙での評価もこぞって厳しいものとなりました。それによりデ・リフトの実力に疑問符が付く事はありませんが、それでも‘’セリエA‘’と言うディフェンダーにとって特殊な舞台で、慣れるまでに時間を要するのは間違いありません。「それまでに、どれ程の長さが掛かるのか」と言うわずかな不安が残ると同時に、「デミラルやルガーニと言ったセリエA経験者にも平等にチャンスを与えてもいいのではないか」との思いも込み上げてきます。決してデ・リフトに固執する事なく、デミラルとルガーニの可能性を同時進行で探る事は、長い長いシーズンを戦う上でチームの底上げに繋がるのではないかと期待します。

 

 

サイドバックの選手層

開幕前から懸念されていた『サイドバックの選手層の薄さ』に関しては、残念ながらデ・シリオの負傷により、早速第2節で浮き彫りになってしまいました。国内リーグ、コッパ・イタリア、そしてチャンピオンズリーグ全てのコンペティションで優勝を目指すチームにおいて、『サイドバック3枚』はあまりにも少ないと言えるでしょう。可能性を持っていたエムレ・ジャンがチャンピオンズリーグの登録メンバーから外れた事により、サンドロ、デ・シリオ、ダニーロに続く4人目の選手に名を連ねる可能性があるのは、クアドラードのみとなりました。サッリがそのカードをどこで切ってくるのか、それとも疲労を無視して本職である3選手だけで回し切るのか。この部分に関しては‘’興味‘’以上に大きな不安が残ります。

 

ピャニッチのバックアップはベンタンクール

プレマッチの起用方法から見ても、『ユベントスの心臓』とも言えるピャニッチ のバックアッパーには、ベンタンクールが指名されたと考えます。昨シーズンは主にインサイドハーフの役割を与えられたウルグアイ代表MFが、このサッリに任されたロール(役割)を体現すれば、チームにおいて確固たる位置を手に入れる事が出来るでしょう。もちろんスタメンを勝ち取る為にアピールはして欲しいですが、現在の中盤の構成においてベンタンクールが目指すべき場所はまずそこであり、そしてシーズン終盤に向けて『欠かせないメンバーのひとり』に名前が挙がっていたならば、それは『ピャニッチ の負担軽減』に繋がると同時に、自ずとチームの勝利に大きく貢献しているとも言えるはずです。

 

 

ロナウド頼りから来る右ウイングの余剰化

アッレグリに続きサッリも背番号7のスタメン起用を最優先に考えるのであれば、右ウイングを任せる選手の余剰化は明らかとなるでしょう。開幕前から『中心選手』に挙げられたドウグラス・コスタが開幕2試合で素晴らしいパフォーマンスを見せる中で、ベルナルデスキとクアドラードにどれだけのチャンスが与えられるのかにも注目が集まりますが、もしサッリがロナウドとドウグラス・コスタを固定する事になれば、早々と冬のマーケットに名を連ねる選手が出てくるかもしれません。

 

過剰人員の中でのやり繰り

24名にも及ぶ各国のスター選手を抱えるチームにおいて、サッリがどれだけターンオーバーを掛けてくるかがポイントになると考えています。あの多様な戦術を持ち合わせるアッレグリでさえも、選手の起用方に関しては苦労した跡が見受けられ、昨シーズン途中には『計算できる選手』であったベナティアがチームを離れた事により、その後のチーム運営に少なからず支障をきたす結果となりました。鼻っ柱の強い各国のスーパースターを率いる中で、サッリが何に優先順位に起き、そしてどのような潤滑油をチームに指して行くかにも注目したいところですが、今シーズンのユベントスにおいては『勝てば官軍負ければ賊軍』である事は明らかでしょう。

 

 

まとめ

まだ2試合を終えたばかりではありますが、戦術以外でも早速サッリ色が見え隠れす部分があり、そして指揮官が変わった今シーズンだからこそ、それは期待にも不安にも繋がります。

サッリのパスサッカーが成熟するには時間が掛かることは承知しているとはいえ、過去8シーズン勝ち続けたチームにおいて、加えてファンの中にはすぐに結果を求める動きや発言が出てくる事は容易に想像ができます。しかし、いずれにしても諸々の答え合わせが出来るのはシーズンが終わってから。それまでの間は、我々ファンも期待と不安を胸に、チームと一緒に喜怒哀楽を共にできれば、それこそ幸せな人生なのではないかと考えています。

 

まだまだ続く長い長い道のりを色々と考え、そして良しも悪しも想像しながら一緒に楽しんで行きましょう!

 

 

Fino Alla Fine!