2019-20 ユベントスの移籍市場まとめ
2019-20 ユベントスの移籍市場まとめ
ラムジー獲得でいち早いスタートを切った2019-20のメルカートは、序盤までビッグネームの獲得を発表して移籍市場の主役に躍り出るも、終盤になると思うように選手を放出出来ずに失速した。
しかし、今シーズンのメルカートにおいて、『ユベントスは失敗した』と言えるのだろうか。今回はその部分にフォーカスしながら、記事をお届けしたいと思う。
獲得選手
名前 | Pos | コメント |
ブッフォン | GK | 2シーズン振りに復帰 |
デ・リフト | CB | 移籍金7500万ユーロで獲得 |
デミラル | CB | 移籍金1800万ユーロで獲得 |
ダニーロ | SB | カンセロとの交換トレードの形で加入 |
ラムジー | MF | トランスファーフリーで獲得 |
ラビオ | MF | トランスファーフリーで獲得 |
イグアイン | FW | チェルシーよりレンタルバック |
まずは今シーズン最大の補強ポイントと言われていたセンターバックに、アヤックスからデ・リフトを、そしてサッスオーロからデミラルの獲得に成功。これにより、昨シーズンまでのウィークポイントは一転してストロングポイントとなった。スピナッツォーラとカンセロの2選手が移籍したサイドバックには、ダニーロのみの加入となったが、このポジションに強い関心を抱かなかったのは最後まで疑問符が残った。中盤に加わったラムジーとラビオの両選手は、攻撃に厚みとアクセントを与え、そしてピャニッチの大きな助けになるだろう。そして懸念されていたセンターフォワードには、チェルシーから戻ったイグアインがそのまま残る形になり、ディバラとポジション争いを繰り広げる事になる。加えて昨シーズン開幕前にPSGへ移籍したブッフォンが、「2ndキーパー」を入れる形で2シーズンぶりにユベントスに戻る事になった。
放出選手
名前 | Pos | コメント |
バルザーリ | CB | 引退 |
カセレス | CB | 契約満了→フィオレンティーナへ加入 |
ロメロ | CB | 獲得後、そのままジェノアへローン移籍 |
ペッレグリーニ | SB | スピナッツォーラとの交換トレードの形で加入するも、そのまま古巣カリアリへローン移籍 |
スピンナッツォーラ | SB | ローマへ完全移籍 |
カンセロ | SB | マンチェスター・シティへ完全移籍 |
モイズ・キーン | FW | エバートンへ完全移籍 |
全体的に動いたのはディフェンスライン。中でもサイドバックに関しては、カンセロとスピナッツォーラのレギュラークラスを一気に2人放出したのは驚きであったと同時に、今夏のマーケットではその穴を埋めきれなかった印象が残る(スピナッツォーラと交換トレードの形で加わったペッレグリーニも、シーズン開幕前にカリアリへローン移籍となった)。個人的には唯一不満が残るのはこのポジションだ。昨シーズン後半戦、強烈なインパクトを残したモイズ・キーンは、3500万ユーロの移籍金を残してエバートンへ。これに関しては現金が必要なユベントスと、出場機会を求めるモイズ・キーン側の思惑が重なった形であろう。放出に関しては『ビッグネームが挙がらなかった』のではなく、交渉を上手く進められずに『挙げられなかった』と言う表現が恐らく正しいのだろう。
振り返って
「獲得には成功したものの放出には失敗した」と言う印象の強い今シーズンのメルカートではあるが、それ以上にバランスの悪さが気になる所である。センターバック2選手(デ・リフト、デミラル)の実力に関しては疑いの余地はなく、むしろ功績と言って間違いないが、カンセロとスピナッツォーラと言うレギュラークラス2選手を放出したにも関わらず、サイドバックはダニーロ1人でお茶を濁す形になってしまった事は(ダニーロの実力云々に言及しているのではなく)、長いシーズンを戦う上で大きな不安要素に繋がる事は否めない。極端な話にはなるが、ラムジーとラビオを獲得した中盤の構成において、既存選手をひとりも放出できないのであれば、この両選手を獲得せずとも最初からサイドバックに舵を切るべきだったのではないかとさえ考えてしまう(ラムジーは昨シーズン中に移籍が決まっており、ラビオもシーズン終了直後に話がまとまったので、それとは違う次元の話だと言う事は認識しているが)。それくらい、サイドバックの選手層が、チームに歪みを生んでいると感じている。
とは言え、これを「失敗」と表現するには時期尚早であり、現時点ではその必要は全くないとも考えている。要は「シーズンが終わった時にユベントスがどのポジションに立っているか」が重要であり、更に言えば例えクアドラードやエムレ・ジャンがサイドバックでスタメン出場せざるを得ない状況に陥っていたとしても、例えベンタンクールがベンチを温める時間が長くなっていたとしても、最終的にチャンピオンズリーグ優勝を遂げていれば、シーズン最初のメルカートについて咎める者は誰も出てこないだろう。
兎にも角にもシーズンは始ったばかりである。所属メンバー数が少ないならいざ知らず、十分過ぎる戦力を抱えたチームに対して不安や不満ばかりを口にするのではなく、まだ見ぬ明日の勝利に期待を寄せて、余計な事を考えずにチームに対して声援を送るのもまた面白いのではないないだろうか。
何年か経った後に『あのシーズンは獲得ばかりして、思いっ切りメンバー数が膨らんでたよね』と遠くを見ながら、『でも優勝したんだよね』と笑いながら話せる日が来るのではないかとも期待する。
そしてその日が来る為にも、何かに気付かないふりをしながら次の試合でもこう叫ぶだろう。
Forza Juve!