【Juventus Pride】2018-19 振り返り

【Juventus Pride】2018-19 振り返り

 

 

2018年7月

 

 

これまでのユベントス人生において、圧倒的に大きなニュースがボクのもとに届いた。

 

 

それはまるでイナズマのような衝撃を与え

 

それはまるで暗闇を照らす星空のように

 

それはまるで一国を率いるキングの様相で

 

 

ボクたちのチームにやって来た

 

‘’あの‘’クリスティアーノ・ロナウドがやって来た

 

ユベントスを勝たせる為にやって来た

 

 

2018-19シーズンは、全てそこから始まった

 

 

来る人がいれば去る人がいる

開幕前から話題の中心はロナウドとなり、ユベントスは早速ロナウドのチームとなり、そして世間は「ユベントス=ロナウド」となり、これまでにない異様な盛り上がりを見せていた。

 

しかしその傍らで、チームを去ったメンバーもいた。昨シーズン終了前からリヒトシュタイナーとアサモアの退団は決まっていたが、それに加えてボクの大好きなストゥラーロとイグアインがそれぞれポルトガルのスポルティングとACミランに移籍してしまったのだ。ストゥラーロは明らかに今シーズンのチームにおいて役割を見い出す事ができなかったし、ロナウドと言う大物を獲得した以上、特に収支のバランスを整える為にもイグアインの放出が仕方ない事だとは頭では分かっていた。それでも昨シーズンの一年間を共に戦い、そして何よりもユベントスに戻って来たボクにもう一度、「選手を愛する喜び」を教えてくれたこの2選手がチームを離れてしまった事は残念でならなかった。この2人に関する報道を目にする度に胸が締め付けられた事を、一年経った今でも忘れる事ができない。

 

 

シーズン序盤

ロナウドの‘’セリエA‘’初ゴールまでに4試合を要したもののチームは順調に勝ち星を重ね、気付いてみれば『開幕8連勝』を飾っていた。ロナウドと言う唯一無二の存在が加入した事によりチームに歪が出た事は否めない序盤であったが、それでもチームは勝ち続けて首位を独走した。

しかし、今振り返ってみると歪が生じていたにも関わらず勝ち続けた事で周囲も、そしてもしかするとチーム内にも多少の勘違いが生まれてしてしまったのかもしれない。「今シーズンのユベントスは最強だ」。そんな声がチラホラと聞こえ始めてきたが、長い間ユベントスを見て来たファンからの心配の声は届いていた。「ユベントスは‘’チーム・ロナウド‘’になってしまった」。欧州の舞台では、ひとりがスペシャルであるだけでは勝つ事ができない。そこにチーム力が備わっていなければあのタフなトーナメントは戦えない。それは過去4年で2度ファイナルに進出し、そして2度悔し涙を流したサポーターたちが一番分かっていた。

 

 

夢の舞台へ

2018年11月。ボクはイタリアへ旅立った。それこそ1995-96シーズンからユベントスを応援しているが、初めてユベントスのホームスタジアムへ足を運んだ。そこにはブラウン管を通じて目にしていたものとは別次元の空間が存在し、そしてボクを夢の世界へ引きずり込んでくれた。

 

到着の翌日に観戦したセリエAのカリアリ戦は、ディバラやクアドラードのゴールで3対1で勝利を収めたが、それと同じくらい感動したのが現地の特別な雰囲気だった。試合前の選手のコールに始まり、相手選手へのブーイング、そしてゴールの瞬間に発生する地鳴り共に沸き起こる歓声。全てが初めての経験であり、全てがボクに感動と喜びを与えてくれた。

そして迎えたこの旅一番のメインイベントである、チャンピオンズリーグのマンチェスター・ユナイテッド戦。決勝トーナメント進出を決めるべく勝利を目指すユベントスは手に汗握る接戦の中、後半20分にボヌッチからのロングフィードをロナウドがダイレクトボレーで決めて先制点を挙げるも、後半終了間際にまさかの連続失点を喫し敗戦。途方に暮れるボクが見つめる前を、ユベントスの選手が挨拶もなく淡々とロッカールームに戻る姿を見て、「やはり勝負の世界は時に薄情なんだな」と感じた。それでも、チャンピオンズリーグの独特の緊張感と雰囲気は、今でもまぶたの裏側に焼き付いている。

 

 

CL決勝トーナメント

シーズン中盤を迎えても、これ以上ないほど順風満帆だったユベントスだったが、大きな大きなピンチが訪れた。チャンピオンズリーグ決勝トーナメント一回戦。アウェイの地‘’ワンダ・メトロポリターノ”に乗り込んだビアンコネロは、その圧倒的なアウェイの雰囲気に飲み込まれ、全くを以って良いところなく0対2で完敗を喫した。それにより3週間後にホームで迎える2ndレグでは、3点差を付けての勝利が条件となってしまった。しかもアウェイゴールを奪えなかったチームは「1失点すればそれはすなわち敗退に直結する」と言う、非常に困難な状況に追い込まれていた。そして、アトレティコは強豪揃いのリーガ・エスパニョーラにおいても、抜群の守備力を誇っているチームであった。

 

 

Mission Impossible

 

 

「ユベントスは終わりだ」。誰もがそう思った。ユベンティーニからもその類の声が伝わって来た。

 

 

 

 

2019年3月13日。ユベントススタジアムは異様な空気に包まれていた。いや、ティフォージが異様な空気を作り出していた。チームを勝たせる為に。我々の力をユベントスに伝える為に。そして不可能を可能にする為に。

 

試合はキックオフ直後からユベントスが優勢に出た。後が無いユベントスが2点のアドバンテージを持つアトレティコに襲い掛かった。グランドに立つ11人だけではなく、ベンチメンバーはもちろんの事、駆け付けた4万人のティフォージとそして世界で見守るサポーターの想いが乗り移ったように、アトレティコ・ゴールを脅かした。

反撃の狼煙は前半27分に上げられた。左サイドの浅い位置からベルナルデスキが放り込んだ正確なクロスに、クリスティアーノ・ロナウドが頭で合わせて待ちに待った先制点を挙げた。まさにアトレティコ守備陣を‘’こじ開けた‘’力強いゴールだった。前半をユベントス優勢のまま1対0で折り返し、「あと1点で同点」から「あと2点で逆転」にスイッチが切り替わったユベントスは、後半早々にチャンスを掴んだ。得意の攻撃参加を見せていたカンセロが上げたクロスにロナウドが頭で合わせたが、ゴールキーパーのオブラクが弾いた。そのボールを再度ロナウドが左足でシュートを打ちに行った瞬間、マンジュキッチが手を広げて何かをアピールしていた瞬間、それと時を同じくしてカイペルス主審の左手の人差し指と中指が、右手にハメた時計を指さした。『ゴールライン・テクノロジー』。文明の利器により2点目は認められ、後半のほとんどの時間を残してユベントスは同点に追いついた。

そしてドラマの終わりは後半40分に訪れた。この試合で調子の良さを見せていたベルナルデスキが強引なドリブルで左サイドを切り裂くと、いったんは抜かれたコレアが追いつくもたまらずエリア内でベルナルデスキを倒してしまった。転がったのも明らかであり、コレアが押した事も間違いがなかった。一瞬の間がユベントススタジアムを支配した後、高らかに主審の笛は鳴らされ、ペナルティスポットが指さされた。その場所にはロナウドが立ち、もう目を開けている必要はなかった。結果は分かっていた。彼がこの場面で外す訳はなかった。

 

 

 

その後6分の追加タイムを経て、ユベントスは勝利を収めた。劇的な逆転勝利だった。

 

 

Mission completed

 

 

ユベンティーニが熱狂し、世界中のサッカーファンにユベントスの底力を見せつけた瞬間だった。

 

 

 

 

その翌日に行われたドローにより、チャンピオンズリーグベスト4を賭けて対戦する相手はアヤックスに決まった。グループリーグを無敗で勝ち抜け、ベスト16でディフェンディング・チャンピオンのレアル・マドリーを倒したチームだ。そして何よりも若く、勢いのあるチームで嫌な予感はした。むしろ嫌な予感しかしなかった。

 

しかし、その不安をよそにアウェイに乗り込んだ1stレグは、ロナウドのゴールで1対1の引き分けで終えた。アウェイと言う事と、アウェイゴールを1点つ奪った事を考えれば、決して‘’悪い‘’結果とは言えなかった。ただひとつ「周囲の熱量が低い」と言う事がボクは気になっていた。確かに前評判で言えばアトレティコに比べて組み易く、そしてアウェイの1stレグで及第点の結果を持ち帰って来た事は確かだ。それでも圧倒的に有利とは言い難く、1stレグを見ていても決してユベントスが優位に試合を運んではいなかった。なによりも、ベスト16ではアウェイでレアル・マドリーを圧倒して勝ち進んできたチームだ。また嫌な予感が頭を過った。

 

果たしてその予感は的中した。翌週に行われた2ndレグは、開始28分にロナウドのゴールで幸先よく先制するも、直後の34分に不運な形ではあったものの失点を喫し同点にされ、チームもスタジアムも波に乗れないまま、後半22分にこの試合2つ目のアウェイゴールを与えてしまい勝負は決した。決勝トーナメントに入り5つ目のゴールを挙げたロナウドの奮闘もむなしく、キエッリーニと言うディフェンスラインの、そしてチームの支柱を欠いたユベントスは‘’あっけなく‘’チャンピオンズリーグから姿を消した。まるで、アトレティコ戦の歓喜が嘘だったかのように。

 

 

 

恩返し弾

少し時間を戻すが、アトレティコ戦2ndレグのわずか4日後に迎えたジェノア戦。今シーズン開幕前にスポルティングに移籍したストゥラーロは、今冬にジェノアに戻って来ていた。そしてこの試合では、ユベントス時代には見る事が出来なかったテクニックと豊富な運動量で中盤を制圧し、更には自らのゴールでジェノアの勝利に貢献した。ストゥラーロはその時点でジェノアに完全移籍を果たしており、すでにユベントスの一員ではなかったが、それでもこれまでの人生で一番悔しくないむしろ晴れやかな失点だった。そして、同様にユベンティーニからも届いた祝福の言葉が、ボクの心を温かくしてくれた。

 

 

アッレグリ退任

国内リーグは順調に勝ち点を重ねてスクデットを決めたユベントスであったが、自身就任5年で5度目のスクデットを決めたアッレグリの退任が決まった。限りなく解任に近い退任だ。確かにチャンピオンズ・リーグ優勝を逃し、そして就任5年を迎えて一般的に考えれば‘’変化‘’を必要とするタイミングだった事も分かる。しかし、その変化を自身で生み出せるのがアッレグリであり、それを幹部陣も理解していると思っていた。

就任後、5年の在籍期間で5度のスクデットに4度のコッパイタリア優勝、そして2度のチャンピオンズリーグ決勝進出が評価されない世の中であれば、いったいカルチョの世界を計る物差しは地球を一周しても足りないのではないか。そんなやるせない思いが胸につかえていて、まだそれは取れていない。

 

 

エピローグ

チャンピオンズリーグとコッパイタリア優勝を逃したユベントスではあったが、果たしてスクデットを勝ち取り8連覇の偉業を成し遂げた。国内リーグでは38試合で実に27回の勝利と70のゴールをサポーターに与えてくれ、それ以上に数えきれないくらいの感動と喜びと、そして熱狂をもたらしてくれた。

「勝って当たり前」と言われた国内リーグにおいて、勝ち続けなくてはならないプレッシャーはどれだけのものだったろうか。「負けてはならない」と言われたチャンピオンズリーグにおいて、互角の相手と対峙する時の精神的負担はどれだけのものだったろうか。それを計る事はできないけれど、ホーム最終節終了後のセレブレーションで見せた選手の笑顔を見た時に、その全てから解放された本来人間が持ち合わせている姿を目にした時に、心の底から「おめでとう」、そして「ありがとう」と言う気持ちが湧いて出てきた。ユベントスに勝って当たり前の試合はないし、フットボールにおいてそんな言葉は存在しない。そんな戦場を戦い抜いた選手たちに、心から「お疲れさまでした」と伝えたいと思った。

 

 

今シーズン限りでバルザーリが引退し、アーセナルからラムジーが加わる事がすでに発表されている。更に選手の入れ替えもあるだろう。それでもユベントスは続き、ボクたちユベンティーニの旅は続く。

 

来シーズンはどんなユベントスが見られるだろう。どんなドラマが待っているだろう。

誰が抜けて誰が加入しようともユベントスはユベントスであり続け、白と黒の誇りは揺るぎないものとしてボク達の胸に生き続ける。そして、2018-19シーズンのユベントスが戦い抜いた軌跡は、褪せる事なくボクたちの心の中で輝き続けるだろう。

 

 

Juventus Pride

 

 

ボクたちはいま 貴方への愛だけに

笑って 泣いてる

 

これからも  貴方への愛だけに

笑い続け 泣き続けるだろう

 

 

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