
こんにちは。本当はもう少し早く出そうと考えていたのですが、忙しかったことに加えて、なかなか書くネタに困っていました。「ユベントスコミュニティで皆さんに楽しんでもらえるテーマってなんだ」と考えた結果、一旦はミラノダービーのレビューにしようと決めましたが、諸事情によりやめました(これ以上は聞かないで)。正直に言います、ミランとともにCLに出たいとかTwitterで言ったことがありますが、嘘です。EL圏辺りをうろついといて欲しいし1年ごとに監督を変えといて欲しいです。すみません。
そういうわけで(?)、ネタを考え直すことになり、表題のことについて書くことにしました。実は今季のインテル、やってることが昨季と結構違います。昨季は3-5-2をベースに「中盤空洞化」と呼ばれるものを実践。これはいわばコンテのやり慣れたサッカーで、ユベントスの監督時代に確立し散々使ってきたものでした。今季は少なくともここまで私が観た限り、そのサッカーをベースとしていません。その主な原因としては
・従来の3-5-2戦術への対策が進んで強豪相手にはメリットが少なくなった(おそらくコンテもそれを自覚)
・エリクセンの加入
が挙げられるでしょう。今季は3バックに変わりはないのですが、中盤の配置を変えた3-4-1-2で臨んでいます。今回は、そのシステム変更以外に昨季と変わった点を大まかに述べていこうと思います。あくまで大まかなアウトラインです。長々と他所のチーム事情を書いてもつまんないと思うので。もしかしたら後日、自分のnoteに同じようなものでもう少し詳しくしたものを上げるかもしれません。
昨季の陣形
基本的な陣形は下図のようでした。わかりやすい攻め方が特徴で、各選手は縦方向の上下移動がほとんどです。縦に速いカウンターサッカーが持ち味で、それを支えたのが2CFと2IHを中心としたコンビプレー、CBがサイドに広く開いて行う両脇からのビルドアップ、そして中央のバランスを保つのに必要なバランサーとしてのアンカーでした。攻撃時は前線に2CF+2WBの4枚、守備時は3CB+2WBで5バックを形成します。

詳しく知りたい方は私のnoteに記事があるのでそちらをご覧ください。ここでは省きます。
今季の陣形
基本陣形と選手は下図のような感じです。中盤の3人の組み合わせは試合により様々で

特徴の一つは、コラロフとダンブロージオを左右のCBとして計算しているということ。ご存知の通り両選手の本職はSBです。今季この二人はCBもやるだろうということは予想していましたが、WBとしての起用がメインだとばかり思っていました。ところがPSM(プレシーズンマッチ)からコンテは彼らをCBで起用し、序盤戦もその姿勢を崩していません。そしてここから見えてきたことは次の2つです。
・左右CBにすごくサイドバック色を求めている
・CBのクセに上がりまくるもんだから失点が止まらない(おい!)
例えば次の場面は先日のCL、ボルシアMG戦のものですが、セットプレーでもないのにダンブロージオはここまで来ています(直後、ここからの折返しが得点に結びつきました)。

昨季のインテルでも左右CBにはビルドアップ能力が割と高いレベルで要求されました(ゴディンやシュクリニアルが適応に苦労した、という原因は主にこの辺りにあるでしょう)が、今季はそれに輪をかけて高い位置を取る場面が目立ちます。ただ、本職CBの選手を起用したときは、高い位置は取るもののここまでは上がりません。それが監督の指示なのか選手個人の声質によるものなのかはわかりませんが。
ビルドアップ時の特徴
とにかく左右CBがサイドを押し上げます。相手がプレスを掛けに来るか否かでも変わるのですが、基本はワイドに開いた左右CBのいずれかにボールが渡るところからスタートします。例えば左のバストーニから始まるとしましょう。昨季と異なる特徴の一つは、そこから一つ内側のレーンに入ることです。可能ならそのまま上がっていき直接ルカクへのパスや逆サイドのWB(この場合ならハキミ)へのロングフィードを狙います。このとき、CHの二人はサイドやより中央に移動します。WBはひたすら高い位置を取り、トップ下の選手は灰色のエリア辺りにポジションを取っています。

ファイナルサード手前までボールを運んだところでも昨季と異なる動きが見られます。それは「横方向の動き」です。例えば下図はこの間のジェノア戦での一場面ですが、右CBダンブロージオの動きからブロゾビッチがサイドでボールを受ける動きが目立ちました。トップ下のエリクセンもずっと真ん中に陣取るのではなく(PSMでは割と陣取ってました)、一つ隣のレーンにスライドし、中央のスペースをより有効活用できるよう努める意図が見えました。こういった動きは昨季はあまりなく、ゆえに未だにコンテがどういう形でのビルドアップを目指しているのかいまいち掴みきれていません。

ルカクの使い方
一方でルカクを軸にした攻めの形は実にシンプルです。要は彼のポストプレーです。どこからでも良いのでルカクに縦のパスを入れます。ルカクは相手を背負ってボールをキープ。周りの選手が一斉に縦に走ります。ルカクがそのまま前を向ければ向いてドリブルに入りますが、多くの場合はサイドを走るハキミに預けます。預けたらすぐ自分も走ります。そこからの形はワンツーでの崩しを狙ったり、ハキミが自分で仕掛けたりクロスを上げたりと様々ですが、この攻撃パターンが最も定番感があります。これは昨季の後半戦辺りから頻繁に見られるようになったもので、その裏にはルカクのポストプレー能力がかなり向上したことがあります。以下余談。ユナイテッド時代はサイドに開いてウイングのようにプレーすることが多く、そのフィジカルをポストプレーヤーとして活かせれば強いのに活かしてこなかった側面があり、それはインテルに来てからもしばらく続きましたが、徐々にポストとしての身体の使い方が上手くなり、今ではそのフィジカルを存分に活かせていると思います。

攻撃時のWB
ファイナルサードでのWBの動きにも変化が生じました。昨季まではWBからクロス、あるいはキーパスという場面がほとんどだったのに対し、今季からはWBにクロスやキーパスを送る場面が増えました。例えば中盤のボールホルダーからサイドの裏を狙って浮いたパスを送ったり、WBからのクロスにしてもアタランタがやってるみたいに逆サイドのWBを狙ったりと、WBが“使われる“ことが多くなりました。そしてこの攻撃ではいわゆるハーフスペースの活用を強く意識していると思われます。こうしたことは、今季からコンテがWBにより攻撃色を求めている(RWBのハキミは超のつく攻撃的SB、ペリシッチは本職がWG)こととも関係していると思います。
守備時の最終ライン
昨季は両WBが3CBと並んで5バックを作りましたが、今季はいかんせんサイドがイケイケ状態でWBの戻りが間に合わない場面が多いです。相手の遅攻時には5人並ぶこともありますが、大体は3人ないしCHの一人を追加した4人でラインを作るケースが増えました。そういう意味で、左右CBには昨季より攻守のバランスを考えてプレーすることが求められそうです。
問題点
ここまでサイドを押し上げる意図は何か。メリットは、人数をかけているため非常に分厚い攻撃を仕掛けることができる点です。ボールホルダーの選択肢も増えるわけで、昨季のユーベ戦のように「アンカーを潰されるだけで攻撃が停滞する」ようなことは少なくなると思います。推測ですが、これはCL等でより能力の高い選手を要するチームにも殴り勝てることを目指しているのではないかと思います。ただ、これは中盤、特にサイドでのビルドアップを完璧にこなすことが前提で、それができていないから一気に広大な裏のスペースをつかれて失点、という場面が多いのが現状です(主に左サイド)。この辺りを安心して見ていられるWBはヤングやダルミアンで、ペリシッチはその点大いに難ありです。
また、左右CBを本職SBの選手にすることで得られるメリットは分かるのですが、どうしても対人守備で劣ります。そしてCBをやる以上、対人守備能力は最重要と言ってもいいわけで、個人的には左右CBも本職CBの選手でやって欲しいなあと思っています。
以上になります。これで今季のコンテ・インテルが序盤戦はどんな感じなのかを少しでもイメージしていただくことができれば幸いです。トップ下の選手の役割についても書きたかったのですが、割愛します。「この選手はどんな選手なのかわからない」という方は、私のTwitter(@interista0421)のほうに選手紹介を固定ツイートでぶら下げてありますので、何かの参考になるかと思います。結局長くなったにもかかわらず、最後まで読んでいただきありがとうございました。