
ここ2〜3週間の間、ブッフォン、そしてキエッリーニと言う大御所2人の契約延長の話が持ち上がっている。
両選手とも今シーズン限りで契約満了となるのだから、そんな話が出るのは当たり前と言えば当たり前であり、そのニュースを耳にしたユベンティーニからは喜びの声が挙がっている。
しかし、ふと違和感を感じる。
ユベントスは本当にそれでいいのだろうか。

ブッフォンは間違いなくユベントスを代表する選手であり、それこそイタリアの歴史に名を刻んだゴールキーパーでもある。そしてユベントス黄金期のみならずセリエBに降格した時も、セリエAで2連続7位の憂き目にあった時期も、どんな時もユベントスのゴールマウスに君臨し、チームを鼓舞し続けた。時に愛らしい笑顔を見せながら。
しかし2017-18シーズン終了後、そのレジェンドかユベントスから離れる事になる。PSGへの移籍が発表されたのだ。これまでの歩みを鑑みれば、『ユベントスで引退』が既定路線だと信じていたユベンティーニにとっては、まさに青天の霹靂と言える大事件となった。

キエッリーニがユベントスに移籍してきた時のことは、正直に言うとよく覚えていない。間違いなくユベントスを追っていた時期ではあったものの、当時は決して目立つ存在ではなく、当時売り出し中だったバルザレッティやパッラディーノ、デ・チェリエ、そしてジョビンコと言った若手有望株の影に隠れる存在だったと思う。ただひとつ鮮明に覚えているのは『クロスの下手くそなサイドバックだなー』と思った事、それだけだ。
しかし、そのクロスが下手なサイドバックは、闘志をむき出しにしたディフェンスで頭角を現し、レギュラーを獲得する事になる。更には恵まれた体格と強靭なフィジカルを武器に、センターバックをも任される事になった。きっかけは『ユーロ2008』だったと認識しているが、この大会で活躍した事により、キエッリーニは世界最高のセンターバックの一人に仲間入りを果たした。
果たして2019-20シーズン開幕前、ブッフォンは求められる形でチームに戻る事になり、キエッリーニは引き続きキャプテンを任されている。ユベントスにとっても、サポーターにとってもこの2人の影響力は絶大であり、そして精神的支柱として欠かせない存在になっている事は間違いない。
しかし、ユベントスは本当にそれでいいのだろうか。
ブッフォンは今シーズン、2ndキーパーと言う立場ながらも出場した試合では安定したプレーを見せており、それによりメディアから称えられる機会も少なくない。だが、そのほとんどには「42歳」と言う枕詞が添えられ、メディアがブッフォンと言うスーパースターの名を使って、目を引こうとしているのは事実だ。そして確かに安定したプレーや素晴らしいセービングを見せてはいるものの、個人的には「ナイスキーパー」のレベルのものであり、これまで長年に渡り見せてきたスーペル・ジジのそれとは程遠いと感じている。今のブッフォンは「スーパー」でないだろうし、恐らくそれは長年ブッフォンを見続けてきた我々が一番認識しているはずだ。
キエッリーニは今シーズン開幕直後に負った大怪我の影響により、長い期間を戦列から離れていたものの、ここに来てやっとチームに戻って来た。これから迎える厳しい戦いを前に、まさに絶妙のタイミングと言えるだろう。しかしカピターノも年を重ね、年々怪我による戦線離脱が増えてきている。ここ数年では「大一番に不在」と揶揄される事もあり、実際に昨シーズンのアヤックス戦2ndレグにおいては、「キエッリーニがいれば結果は違ったものになったかもしれない」と口にするファンも多かった。誰もが「シーズンを通じて計算する事は難しい」と分かっているのではないだろうか。
いつまでこの2人に頼るのか。
いつになったらこの2人に代わるリーダーが現れるのか。
ユベントスはこのままでいいのだろうか。
恐らくブッフォンとキエッリーニがいる限り、チームは2人に頼り、そして新たなリーダーが現れる事は無いだろう。
そしてボクの考えはこうだ。
ブッフォンが契約を延長したとしても1年、そしてその間に代わりとなるリーダーを絶対に育成する事(もしくは獲得する)。それが前提であり、もしチームが引き続き「精神的支柱に」と考えているのであれば、むしろ契約を延長する必要はなく、そこにプラスの要素はほとんど見い出す事は出来ない。キエッリーニは35歳と言う年齢を考えても、複数年契約を結んでも構わないだろう。しかし、2シーズン後(2021-22開幕)を目標にキャプテンを任せられる人材を育てなくてはならず、むしろそれがキエッリーニとの契約を延長する大きな理由のひとつとするべきだ(それを公に発信してもいいと思っている)。そうでなければ、いたずらに複数年契約を結ぶべきでは無い。
そして振り返ればユベントスにはリーダーとなるべく人材がいて、キャプテンを任せるべく背中がそこに見える。
昨シーズン、ユベントスをチャンピオンズリーグの舞台から追いやったアヤックスのキャプテンは誰だったか。今シーズン、背番号10の誇りを背負い戦う姿を見せているのは誰だろうか。
時は満ちたとは言えない。
しかし、見渡せば人財は満ちている。
Fino Alla Fine.
最後まで
しかしそれは終わりを意味するものではない。
ユベントスの永遠なる繁栄の為に、今こそ。

あとがき
キエッリーニに対してはまだ感じるものは少ないですが、ここ数年ではブッフォンやマルキジオの年齢による衰えに目を背ける自分が嫌でした(今でも嫌です)。しかし、月刊ユベントスと言うファンサイトを運営している上で、例え建設的な意見だとしてもそれを書くには余りにも勇気がいる行為であり、私自身もなんとなくレジェンドっぽく表現していたのが事実です。そして今シーズン、周囲のブッフォンに向けた賛辞やキエッリーニへの期待度を目にするにつれ、「もしかしたら自分は自分の気持ちを偽っているのではないか」と違和感を覚え、今回はその気持ちを記事に反映させて頂いた次第です。
人間は誰でも「老い」と向き合うべくタイミングがあり、正直に言えばロナウドでさえも数年前に比べれば明らかにスピードとキレが落ちています(ただ、彼はそれを「プレースタイルの変更」によって補っている所が一流の中の一流である証拠なのですが)。そして、ブッフォンとキエッリーニの2人も、優にその時期を迎えているのは間違いありません。
今回はある程度本音を書かせて頂きましたが、決してこの両選手を「不要だ」と言っている訳ではなく、ユベントスと言うチームの将来を考えた時に、そのタイミングだと思っただけであり、それをご理解頂けると嬉しいです。そして、ブッフォンとキエッリーニに「引退」のふた文字が見え隠れしているからこそ、ボクは出来るだけの多くの勝利と、そして未だ手にした事のないタイトルを掴んで欲しいと強く願っており、その為にも新たなリーダーとなる選手が育たなくてはならないと思っています。しかし、すぐにその穴を埋める事ができないのも事実であり、だからこそある程度の荒治療が必要だと信じています。
今回はあえて「課金制」とさせて頂きましたが、それにより本音をお伝えする事が出来たと思います。そして、その為にわざわざお金を払ってまで読んで頂いた方に、心より感謝します。本当に有難うございました。
引き続き皆さんのユベントスライフが充実するような記事を、月ユベと裏ユベ両方からお届けしたい思います。
(了)